こんにちは。
前回、
市民オーケストラや学生オーケストラでは
経験者は1stヴァイオリン、
初心者は2ndヴァイオリンに振り分けられる
ことがあるとお話しましたが、
ヴィオラも似ています。
似ていると言うより
『ヴァイオリンは定員がいっぱいだから
あなたはヴィオラをひいてね』
『えっ?ヴィオラって何ですか?』なんて
もっと残念な会話になってしまうこともある
マイナーな楽器です😢
そんなとてもマイナーなヴィオラですが、
オーケストラやカルテットでは
なくてはならない存在です。
今回はオーケストラやカルテットでの
ヴィオラの役割についてお話します。
まず、ヴィオラがマイナーなのは
ヴァイオリンと形・ひき方が同じことが
原因ではないでしょうか。
チェロは足で挟んで演奏しますし、
コントラバスは立って演奏します。
この2つはサイズもかなり大きいので
ヴァイオリンと間違えることはないですね。
一方ヴィオラは、ヴァイオリンと同じように
顎と肩で挟んで演奏する上に、
サイズも大きくは変わりません。
そのため、オーケストラを見ていて
ヴァイオリンとヴィオラを見分けるのは
難しいのです。
左がヴァイオリン、右がヴィオラです。
ヴィオラの仕組みや楽譜については
《ヴィオラ③》をご覧ください。
オーケストラのヴィオラパートは
客席から見て舞台の右側に座っていることが
多いです。
左側に1stヴァイオリンと2ndヴァイオリンが
座っているいるので、
よーく見比べてみるとヴィオラの方が
楽器が少し大きいのがわかると思います。
オーケストラの弦楽器は
・1stヴァイオリン
・2ndヴァイオリン
・ヴィオラ
・チェロ
・コントラバス
の5つのパートに分かれていて
1stヴァイオリンが一番高い音域、
コントラバスが一番低い音域を担当します。
楽器のサイズは
音が低い楽器ほど大きくなります。
ヴィオラはちょうど真ん中の音域を担当する
ヴァイオリンより大きくて
チェロより小さい楽器なのです。
ヴィオラは
前回お話した2ndヴァイオリンと同様に
伴奏に回ることの多いパートです。
伴奏に回る、ということは
ヴィオラも考えることの多い
非常に頭を使うパートなんですよ!
伴奏なら2ndヴァイオリンと全く同じ役割か、
と言うと少し違います。
2ndヴァイオリンは
1stヴァイオリンに寄り添うことが多いですが
ヴィオラはヴァイオリンとチェロの間なので
どちらにも寄り添う必要があります。
今までヴァイオリンと同じことを
演奏していたのに、
次の小節からはチェロとコントラバスと
同じことを演奏する、
ということが頻繁にあるのです。
その他にも
管楽器・打楽器とアンサンブルをする
ということもよくあります。
そのため
頭の切り替えが速くないといけませんし、
音程もすぐに別の楽器合わせられるように
しなくてはいけません。
楽譜は2ndヴァイオリンと同様に
一見難しそうに見えないことが多いのですが
自分のパート以外も勉強して
演奏する必要があります。
伴奏が上手くないと
メロディはとてもひにきくいので、
ヴィオラが周りの動きを考えずに演奏すると
『ひきにくい!ヴィオラもっと合わせて!』
と、怒られてしまいます😱
かと言って上手く演奏しても
『ヴィオラのおかげで演奏しやすかったよ!
ありがとう!!』
なんて、感謝されることもありません(笑)
でも、ヴィオラ奏者の方々は
そんなこと全然気にしない穏やかな人が
多いように思います。
余談ですが、
『自己主張は少なめで
周りの動きを常に観察して陰ながら動く、
でも本当は何考えてるのかわからない!』
というような、性格もヴィオラっぽい人が
プロでもアマチュアでもオーケストラでは
ヴィオラを演奏していることが多いですね。
不思議です…。
さらにカルテットの場合、
一番低い音で全体を支えるのは
通常はチェロの役割ですが、
チェロがソロのメロディを演奏する時は
この役割をヴィオラが受け持ちます。
その時はチェロのようなどっしりとした
深い音を出して全体を支えます。
そして、ヴィオラがソロのメロディの時は
ヴァイオリンにも負けない華やかな音色で
演奏をします。
ヴィオラは
全体の土台となる低音域と、
メロディの高音域、
この両方を求められるパートなのです。
簡単に見えて実は奥が深くて難しい
それがヴィオラです!
前回、
1stヴァイオリンは
『自由なアーティスト』
2ndヴァイオリンは
『器用な職人』と例えましたが、
ヴィオラは
人知れず良い仕事をしている
『いぶし銀の仕事人』という感じですね。
私もヴィオラを演奏していますが、
『他のパートを演奏しやすくするためには
自分はどう演奏するべきか』
と、考えて演奏するのはとても楽しく、
上手く出来た時は本当に気持ちが良いです!
もし、オーケストラで
ヴィオラを演奏することになったら、
『ヴァイオリンじゃなくてガッカリ…』
なんて思わずに、
縁の下の力持ちに徹してみては
いかがでしょうか?
それでは、また🌸