こんにちは。
前回までに9回に渡って
時代別におすすめのヴァイオリンと
ヴィオラの曲をご紹介してきました。
前回までに9回に渡って
時代別におすすめのヴァイオリンと
ヴィオラの曲をご紹介してきました。
今回は番外編として、時代を遡って
古典派のこの曲をご紹介します。
モーツァルト作曲
ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲
変ホ長調 K.364
(参考動画)
協奏交響曲は
フランス語ではsymphonie concertante
イタリア語ではsinfonia concertante
と表記します。
協奏曲(コンチェルト)というのは
『独奏楽器と管弦楽によって演奏される曲』
です。
それに対して協奏交響曲は
『複数の独奏楽器と管弦楽によって
演奏される協奏曲』です。
つまりこの曲は
ヴァイオリンとヴィオラの両方が
独奏楽器として登場し、
オーケストラと協奏しているのです!
この曲が作曲されたのは1779年、
モーツァルトが23歳の時の作品です。
この時代のパリでは
協奏交響曲が流行していました。
モーツァルトはその影響を受けて
2つの協奏交響曲を作曲します。
1つ目は
『オーボエ、クラリネット、ホルン、
ファゴットのための協奏交響曲
変ホ長調 K.297b』
そしてもう1つが
『ヴァイオリンとヴィオラのための
協奏交響曲 変ホ長調K.354』
です。
1つ目の協奏交響曲は
モーツァルトの自筆譜が永らく行方不明に
なっていたため、本当にモーツァルトの
作品なのかが疑問視されていますが、
今回ご紹介する
ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲
変ホ長調 K.364 は、
正真正銘モーツァルトの作品として
現在でも演奏される機会の多い楽曲です。
モーツァルトは室内楽を演奏する時は
ヴィオラパートを担当するなど、
ヴィオラを好んで演奏していたようです。
いつもヴァイオリンの伴奏の役割に
なることの多いヴィオラが
全く対等な独奏楽器として扱われるこの曲も
自分で指揮をしながら
ヴィオラソロを演奏したのではないか、
と言われています。
3楽章で構成されており、
演奏時間はモーツァルトにしては
少し長めの約30分。
1楽章と2楽章にはモーツァルト自身が
カデンツァを書いています。
このカデンツァの
ヴァイオリンとヴィオラの二重奏は
『これだけで曲として成立しそう!』
と思わせるほど
2つの楽器の特性が活かされた魅力的な
美しいハーモニーを聴くことができます。
モーツァルト以外も協奏交響曲を書いている
作曲家はいますが、
ヴァイオリンとヴィオラのもので
現存しているのはおそらく
この曲だけではないでしょうか。
ヴァイオリンとヴィオラの二重奏(室内楽)と
協奏曲の両方の良い部分が見事に融合した
唯一無二の名曲です。
是非聴いてみてくださいね!
それでは、また🌸