· 

時代別おすすめの楽曲⑧

こんにちは。

今回は近代音楽のヴィオラの曲です。


今までは独奏楽器としての出番が少なかった
ヴィオラですが、
20世紀に入るとヴィオラがソロの曲を
手掛ける作曲家が増えました。

そのおかげで近代音楽にはヴィオラの名曲が
たくさんあります。


その中でも今回は、
ヴィオラ奏者は避けては通れない作曲家
ヒンデミットの楽曲をご紹介します。



パウル・ヒンデミット(1895〜1963)は
ドイツ出身の作曲家・指揮者・
ヴィオラ奏者です。
その他にもヴァイオリンやピアノ、
クラリネットなどもひきこなし、
オーケストラを構成するほぼすべての
楽器のソナタを作曲した多才な人物です。

交響曲やオペラも手掛けていて、
生涯で600曲以上を作曲しました。


ヒンデミットは
ヴィオラソナタを7曲作曲していますが、
その中から2曲をご紹介します。



ヒンデミット作曲
ヴィオラソナタOp.11-4
(参考動画)

この曲が作曲されたのは1919年、
ヒンデミットが24歳の時の作品です。

ヒンデミットの7曲のヴィオラソナタのうち
4曲は無伴奏ソナタ、
3曲がヴィオラとピアノのための
ソナタです。

このOp.11-4は
ヴィオラとピアノのためのソナタです。

3楽章で構成されていますが、
切れ目なく3楽章まで演奏されます。  

演奏時間は約15分です。


ヒンデミットの音楽は
おそらく今までに紹介してきた曲の中で
一番難解でしょう。

しかし、このOp.11-4は
ヴィオラの深みのある音にぴったりの
静かでロマンティックな旋律が始まります。

その後、その旋律はピアノに渡され、
再びヴィオラに戻ってきます。

このやりとりが非常に繊細で美しいです。


始めはとても静かに繊細に始まりますが、
だんだん音楽は広がっていき
最後はとても情熱的に終わります。

難解に感じる部分もあるかもしれませんが、
耳馴染みの良い旋律もたくさんあり、
ピアノとの掛け合いも
とても聴きごたえがあります。

ヴィオラの音はヴァイオリンより低いため
聴こえにくくなる曲もあるのですが、
この曲はヴィオラとピアノのバランスが
非常に良いのでどちらの音も楽しめます。

ヒンデミットのヴィオラソナタの中で
一番演奏される機会の多い曲です。



ヒンデミット作曲
ヴィオラソナタOp.25-1
(参考動画)

この曲が作曲されたのは1922年、
ヒンデミットが27歳の時の作品です。

5楽章構成の無伴奏ヴィオラソナタで
演奏時間は約15分です。


楽譜には調号も拍子記号も書かれていない
まさに近代音楽です。

このような曲は聴くのも難解ですが、
どこまでがフレーズなのかを
自分で考えて決めなくてはいけないので、
演奏する方も大変なのですが、
ヴィオラの特性が活かされている曲なので
ひいていると気持ち良くなってきます。


4楽章だけをアンコールなどで
演奏されることもあります。
(参考動画)

とにかくテンポの速い楽章で、
テンポ表示はなんと『♩=600〜640』!!

1分間に600〜640回四分音符が鳴るという
表示です(1秒間に10回以上!)。

実際この速さでひくのは難しい(無理?)かも
しれませんが、
それくらいの激しさを表現することが
大切です。


聴いて『なんだこりゃ、わからん!』
と思っても、
一度は実際にひいてみてほしい一曲です。




ヒンデミット作曲
白鳥を焼く男
(参考動画)

非常に不気味なタイトルですが、
これは1935年、ヒンデミットが40歳の時に
作曲されたヴィオラ協奏曲です。

3楽章で構成されており、
それぞれの楽章はドイツの中世の民謡に
基づいています。

1楽章は『山と深い緑の合間に』
2楽章は『菩提樹の木よ、葉を揺るがせよ』
『垣根に座ったカッコウ』
3楽章は『あなたは白鳥を焼く男では
ありませんよね』

という民謡が元になっています。


演奏時間は約30分です。


白鳥を焼く男と言うのは
生きたままの白鳥を焼くホラーな男ではなく
白鳥のお肉を焚き火で炙って食べる
旅人のことを指します。

昔のドイツでは白鳥を焼いて食べる
風習があったようです。


この曲は『吟遊詩人が数々の歌を披露する』
という内容で、ヴィオラの独奏が
吟遊詩人の役割を果たしています。


先程のヴィオラソナタOp.25-1と比べて
非常に聴きやすい曲です。

特に2楽章はとても美しいですよ!
ハープとの掛け合いが、
中世ヨーロッパの雰囲気を感じさせます。

ヴィオラ協奏曲の中でも
演奏される機会の大変多い曲です。

是非聴いてみてくださいね。



明日も近代音楽のヴィオラの曲です。

それでは、また🌸