こんにちは。
今回はロマン派時代のヴィオラの名曲です。
ロマン派時代もヴィオラは
まだまだ独奏楽器としては需要が少なく、
この時代のヴィオラ協奏曲はありません。
ヴィオラのオリジナルの曲も少なく、
他の楽器の曲をヴィオラ版に編曲されて
演奏することがあります。
オリジナルはチェロとピアノのための
シューベルト作曲
アルペジオーネ・ソナタ(参考動画)
オリジナルはホルンとピアノのための
シューマン作曲
アダージョとアレグロ(参考動画)
など。
前回ご紹介した
フランク作曲 ヴァイオリンソナタと
ブラームス作曲 F.A.E.ソナタのスケルツォ
にもヴィオラ版があります。
もちろんこれらの曲は大変素晴らしく
演奏される機会も多いです。
ですが、今回はせっかくなので
ヴィオラのオリジナルの曲をご紹介します。
ブルッフ作曲
ヴィオラと管弦楽のためのロマンス
ヘ長調Op.85
(参考動画)
ブルッフ(1838〜1920)はドイツ人で
ドイツとイギリスで指揮者と作曲家として
活躍しました。
同世代のブラームスを大変尊敬していた
と、言われています。
この曲が作曲されたのは1911年
ブルッフが73歳の時の作品です。
ブルッフと聞いてピンと来ない方も
いらっしゃるかもしれませんが、
ブルッフの作曲したヴァイオリン協奏曲は
有名でとても人気があります。
(参考動画)
また、チェロと管弦楽のための
『コル・ニドライ』(参考動画)も
よく演奏される人気の楽曲で、
ブルッフは弦楽器奏者にとって
非常に重要な作曲家の一人と言えます。
ブルッフの音楽は
とにかく美しいメロディが印象的です。
ヴァイオリン協奏曲もコル・ニドライも
演奏される機会が多いことが納得できる
美しい曲です。
そして、この時代では大変珍しい
ヴィオラのための楽曲『ロマンス』も
冒頭から泣きたくなるほど
ロマンチックなメロディで始まる
ヴィオラの柔らかい音を活かした名曲です。
この曲を聴くたびに
ブルッフに会えるならお礼が言いたい!!
と、いつも思ってしまいます。
それほどこの曲は美しいのです。
10分に満たない短い曲なので、
是非一度聴いてみてください!
シューマン作曲
おとぎの絵本 Op.113(参考動画)
この曲が作曲されたのは1851年
シューマンが41歳の時の作品で、
シューマンが作曲した
唯一のヴィオラの楽曲です。
この作品は4つの曲で構成されていて、
演奏時間は約15分です。
ヴィオラらしい低く渋い音から始まる
哀愁漂う1曲目、
馬のギャロップを連想させる
躍動的な2曲目、
ピアノとヴィオラが激しく絡み合う
情熱的な3曲目、
そして穏やかでまるで子守唄の様な4曲目
と、15分の間に情景が
目まぐるしく変わります。
おとぎの絵本という割には
メルヘンな雰囲気はないので、
『西洋の童話は実は暗くて怖い』と考えると
しっくりくるな、と私は思います。
『この雰囲気を出すのは
ヴァイオリンでもなくチェロでもなく
やっぱりヴィオラだよなぁ』と思わせる
ヴィオラの音の深さや温かさが活かされた
1曲です。
ブラームス作曲
ヴィオラソナタ第一番 ヘ短調Op.120-1
(参考動画)
ヴィオラソナタ第二番 変ホ長調Op.120-2
(参考動画)
この曲が作曲されたのは1894年
ブラームスが61歳の時の作品で、
ブラームス最後の器楽曲です。
この曲は2曲ともクラリネットのために
作曲されたのですが、
ブラームスが晩年に自らヴィオラ版を
編曲しました。
おそらく、ロマン派のヴィオラの作品の中で
一番演奏される機会の多い楽曲でしょう。
第一番は4楽章構成で演奏時間は約25分、
第二番は3楽章構成で演奏時間は約20分
です。
第一番の1楽章は憂いを帯びながらも
激しさを感じさせますが、
第二番の1楽章はブラームスが
amabile(愛らしく)と楽譜に書き込むほど
非常に美しくロマンチックに演奏されます。
対照的な2曲ですが
どちらもヴィオラらしい音を楽しめる
名曲です。
ヴィオラだけでなくピアノも大変美しく、
二人で音楽を作り上げていく楽曲なので、
違う演奏者の演奏を聴くと
雰囲気が違うと感じるかもしれません。
三大B(バッハ・ベートーヴェン・ブラームス)
と称されるブラームスの
集大成のような楽曲です。
是非一度聴いて聴いてみてくださいね!
次回は国民楽派の
ヴァイオリン・ヴィオラの曲です。
それでは、また🌸
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