今回もロマン派時代の
ヴァイオリンの曲についてです。
前回までに
三大ヴァイオリン協奏曲と称される曲を
ご紹介しました。
この3曲にもう1曲を加えて
四大ヴァイオリン協奏曲と称されることが
あります。
そのもう1曲が
チャイコフスキー作曲
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調Op.35です。
(参考動画)
作曲されたのは1878年、
チャイコフスキーが38歳の時の作品です。
ヴァイオリンの旋律がとてもロマンチックで
一瞬で聴衆の心を鷲掴みしてくる名曲ですが
作曲された当時は大変不評だったようです。
チャイコフスキーはこの曲を
当時の名ヴァイオリニストのアウアーに送り
初演を依頼しますが、
アウアーは『演奏不可能』として
初演を断ってしまいました。
その3年後、
ロシア人のヴァイオリニスト、ブロツキーの
独奏でやっとこの曲は初演されましたが、
あまり評判は良くなく、
音楽評論家にも酷評されてしまいました。
それでもブロツキーが諦めずに
この曲を演奏し続けた結果、
徐々に評価が高くなっていき
今では世界中で演奏される曲となりました。
3楽章で構成され、演奏時間は約35分です。
ロマンチックな1楽章、哀愁漂う2楽章、
そしてリズムが特徴的で激しい3楽章と
飽きずに最後まで聴ける1曲です!
ロマン派時代には協奏曲だけだはなく、
ヴァイオリンソナタにも名曲があります。
その1つが
フランク作曲
ヴァイオリンソナタ イ長調です。
フランク(1820〜1899)は
ベルギー出身の作曲家で、フランスで
オルガニストとしても活躍した人物です。
このヴァイオリンソナタは1886年、
フランクが66歳の時の作品で、
友人のヴァイオリニスト、イザイの
結婚のお祝いとして作曲されました。
(参考動画)
結婚のお祝いというのがピッタリの
甘いメロディで始まり、
途中嵐のような激しさはありますが、
最後は幸せいっぱいな印象で終わる
とても美しい楽曲です。
4楽章で構成されており、
演奏時間は約30分です。
この曲は
ヴァイオリンとピアノのためのソナタで、
ピアノにも美しい旋律が多く出てきます。
ソリストとしての技術も必要ですが、
時にはピアノの伴奏をするという
室内楽の能力も必要とされる楽曲です。
ロマン派時代のヴァイオリンソナタで
もう1つおすすめしたいのが
ブラームス作曲のヴァイオリンソナタです。
ブラームスはヴァイオリンソナタを3曲
作曲しています。
ヴァイオリンソナタ第1番 ト長調Op.78
『雨の歌』
(参考動画)
ヴァイオリンソナタ第2番 イ長調Op.100
(参考動画)
ヴァイオリンソナタ第3番 ニ短調Op.108
(参考動画)
どれも名曲で、よく演奏されています。
でも、私が今回個人的におすすめしたいのは
ブラームス作曲の
F.A.E.ソナタの3楽章スケルツォです。
(参考動画)
このF.A.E.ソナタは
シューマンとアルベルト・ディートリヒと
ブラームスによる合作のソナタです。
3人の共通の友人のヴァイオリニスト
ヨーゼフ・ヨアヒムに送られた楽曲で、
F.A.E.とはヨアヒムのモットーの
『自由だが孤独に』(Frei aber einsam)の
頭文字です。
ディートリヒが1楽章、シューマンが2楽章
ブラームスが3楽章、4楽章はシューマンが
作曲しています。
今では全曲演奏されることはほとんどなく、
ブラームスの3楽章だけが演奏されます。
ブラームスのソナタの中では
演奏される機会の少ない楽曲ですが、
私が好きなので紹介しました(笑)
1853年、ブラームスが20歳の時の作品です。
スケルツォ(scherzo)とはイタリア語で
『冗談』という意味です。
スケルツォは作曲家や時代によって
少しイメージの変わります。
ハイドンはコミカルになったメヌエットを
スケルツォとして楽曲に組み込んでいますが
ベートーヴェンのスケルツォはかなり速く、
メヌエットの面影はありません。
このブラームスのスケルツォは
緊張感のあるヴァイオリンの音から
突然始まります。
情熱的な冒頭の後、
甘く優しい長調の中間部を経て
また冒頭の激しさに戻り、
最後は突然長調に転調し明るく終わります。
5分ちょっとの短い曲ですが、
ドラマがギュッと詰まった1曲です。
次回はロマン派時代のヴィオラの名曲です。
それでは、また🌸
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