強弱記号を
さらに細かく示す楽語があります。
① molto(モルト)
イタリア語で『非常に・たくさんの』
という意味です。
よく使われるのは《molto crescendo》です。
『非常にクレッシェンドする』
という意味になるので、
通常のcrescendoよりも強弱の幅が
大きくなります。
moltoは強弱記号以外の楽語とも
よく一緒に出てきます。
《molto Allegro》非常に速く
《molto Adagio》非常にゆっくり
《molto espressivo》とても表情豊かに
など。
② poco (ポコ又はポーコ)
イタリア語で『少しの・あまり〜でない』
という意味です。
《poco f》少し強く(少しのf)
という意味になるので、
《f》の後に《poco f》が出てきたら
少し音量を小さくします。
③ più(ピウ)
イタリア語で『より多く・もっと』
という意味です。
《piú f》より強く
《piú p》より弱く
という意味になるので
《piú f》はfよりも強く、
《piú p》はpよりも弱く演奏します。
④ meno(メノ)
イタリア語で『より少なく』
という意味です。
《meno f》は『今までよりfを少なく』
という意味なので、fよりは弱く
《meno p》は『今までよりpを少なく』
という意味なので、pより強く演奏します。
楽語はほとんどイタリア語で
日本語に直訳すると
わかりにくくなってしまうものもあります。
最初は混乱すると思いますので、
それぞれの楽語がプラスとマイナスの
どちらに作用するかを覚えましょう。
『少しfはmf、
少しpはmpじゃダメなの?』
『piú fとffはどっちが強いの?』
と思った方もいらっしゃると思います。
そして、そういう疑問を持つことは
とても素晴らしいです!!
楽語のついた記号は
その前後の音と比較することはできますが
曲の雰囲気や音楽の流れで
音量も、言葉の持つ意味も変わるので
厳密に順番に並べることはできません。
作曲家は自分の楽曲を
イメージ通りに演奏してもらうために
記号や楽語を使い分けて作曲をしています。
そのため、同じ楽譜にmfとpoco fが
両方存在することはよくあります。
その作曲家にとって
この2つは全く違うものなんですね。
『なんでmfじゃなくてpoco fなんだろう?』
『このpiú fはffより強いかな?弱いかな?』
と疑問に思って考えることが
とても大切です。
100%の正解を出すのは難しいですが、
作曲家の意図を楽譜から汲み取るために
楽語や記号の意味を考えて
演奏してみましょう。
それでは、また🌸